・ぼく自身が若くて、フリーで仕事をしていたときに、
 文章を書くことを仕事にしている先輩が、
 なにげない感じで、こんなことを教えてくれました。
 
 「年をとると、いっしょに仕事をしてきた編集者が、
  みんな偉くなって、重い役職に着いちゃってね。
  それは、とってもいいことのようでもあるんだけど、
  もういっしょに仕事するってことにはならないんだ。
  実際の仕事、若い編集者がやることにになるだろ。
  そうするとさ、若い編集者からしたら、
  オレみたいな存在は、めんどくさいんだよ。
  わいわいと、気楽に仕事をしていくのって、
  同世代とか、ちょっと上か下くらいの作家でさ、
  そういうことになっちゃうわけよ。
  オレのほうが、いい仕事するぞ、とか言ったってね、
  だんだんと、大事そうな仕事ばっかりになるんだよ。
  重い大事そうな仕事だけが、くるんだ。
  そして、やがては、なにもなるなるんだろうな」

 後輩であるぼくは、そのときに、
 「まさか‥‥力量がちがうでしょうし」と、
 あんまり考えもしないで言ったと思います。
 でも、そのときのことばを、よく憶えているのだから、
 きっと強い印象があったんでしょうね。
 
 力のある人が、さらに力をつけていくことと、
 世代が交代していくということとは、
 ほんとうは矛盾しないようにも思いたいのですが、
 実際には、静かに仕事の現場は世代交代していきます。
 そういう意味では、長い期間、ずっと
 一線で活躍しているごくひと握りの人たちは、
 あらゆる意味で、ものすごい人たちです。
 「ほぼ日」に関わっている方でいえば、
 和田誠さんとか、大橋歩さんとか、横尾忠則さんとか、
 なにがすごいんだろうと、よくよく考えてみると、
 「よく聞きたがる」んですよね。
 「なに、それ?」って、いつも言ってるような気がする。
 なにかとよく聞いて、「へーえ」とおもしろがって、
 なるほどと思ったら、血や肉にしているんでしょう。
 相手が誰でも、「よく聞こうとする」‥‥これ、
 若い人でも、できない人はできないんですよねぇ。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
ぼくは厳重に防寒して、気仙沼の仲間に会いに行きまーす。
ほぼ日刊イトイ新聞 - 目次

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